ワンガリ・マータイの名言からの学び。[1人の小さな行動の大切さ]

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感謝するということは、世界にとって最も大切な言葉です。

ケニアの活動家、政治家のワンガリ・マータイ

グリーンベルトという植林運動を立ち上げ、ケニアの環境保護だけでなく女性の地位向上や民主化にも大きな影響を与え、その功績が評価されアフリカ人女性で最初のノーベル賞平和賞を受賞します。

今回はそんな嘉納治五郎の名言を紹介し、その言葉たちからの学びである「1人の小さな行動の大切さ」について考察します。

ワンガリ・マータイとは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介

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  • ケニアの農家の家に生まれる
  • グリーンベルト運動を立ち上げる
  • アフリカ人女性初のノーベル平和賞
  • 木を使わない国葬

ケニアの農家の家に生まれる

1940年、ワンガリ・マータイはケニアの首都ナイロビから120kmほど離れた中部の街、ニエリで生まれます。兄弟は6人、家は農家を営んでおり、あまり裕福な家庭環境ではありませんでした。

当時のケニアはまだまだ女性の人権や立場も弱く、女性が学校に通うなどの教育を受けることは一般的ではありませんでした。

しかし兄弟がワンガリも学校に通わせたいと両親を説得し、家族の協力もあってワンガリは学校に通えるようになりました。学校までは往復10キロの道を歩いて通っていたといいます。

グリーンベルト運動を立ち上げる

そんな彼女の努力もあり、20歳の時には国費で留学できる政府留学生に選ばれアメリカに渡ります。ピッツバーグ大学で修士号を取得するとドイツ留学を経て、母国のケニアに戻りました。

ケニアではナイロビ大学の生物分析学の博士号を取得し、そのまま教授に就任します。この時ワンガリは31歳でした。

その後、彼女は37歳の時にグリーンベルト運動を立ち上げます。ケニアでは気候変動や都市開発による森林破壊のため砂漠化が深刻で、ワンガリは緑を守る活動として貧しい環境で苦しむ女性たちを集め、この運動を始めました。

アフリカ人女性初のノーベル平和賞

最初は7本の木を植えることから始まったグリーンベルト運動はケニアだけではなく、タンザニアやウガンダなどアフリカ全土に広がり、これまでに5000万以上の木を植え、のべ10万人以上の人々が参加する運動に成長しました。

独裁政権下にあったケニアでは女性の立場は低く、ワンガリ自身も政権批判で幾度となく逮捕されることもありました。グリーンベルト運動は環境保全だけでなく、そんな現状を変えようと、貧困からの経済的自立や女性の地位向上、またケニアの民主化にも大きな影響を与えました

そして2002年、62歳の時に国会議員に初当選します。翌年からは環境副大臣を務め、またケニア・マジンジラ緑の党を設立して代表にもなりました。そんな長年の環境問題や人権問題についての活動が評価され、2004年にアフリカ人女性初のノーベル平和賞を受賞します。

木を使わない国葬

2005年には日本にも来日し、日本の「もったいない」という精神に感銘を受けます。Reduce(ゴミ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)という環境活動の3Rをたった一言で表せるだけでなく、地球資源に対するRespect(尊敬)も込められているこの「もったいない」を世界共通語として広めようと、MOTTAINAIキャンペーンとして展開します。

その後も国連の平和大使に任命されるなど精力的に活動したワンガリ・マータイは2011年、卵巣癌により71歳でその生涯を終えました。ケニアでは国葬で彼女の死を悼み、ワンガリが残した「木を使わないで」という遺言により、ガスによる火葬で埋葬されました。

ワンガリ・マータイの名言

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未来は、ずっと先にあるわけではありません。 未来は、今にあるのです。 将来、実現したい何かがあるなら今、その為に行動しなければなりません。

森林管理に一般市民を参加させることはとても重要です。なぜなら、彼らは森林を国民の財産ではなく、政府の財産とみなすよう仕向けられてきたからです。

木は、その根っこを大地に持ちながら、空に向かって伸びていきます。 大志を持つためには、地に足をつけていなければならないし、どんなに高く伸びても、私たちは、その根っこから滋養をもらっているのです。

安心できる食べ物や、安全な飲水もすべて自然からの恵みなのです。クリーンで新鮮な空気も、自然の恵みです。私達は、こうした当たり前のことに感謝すべきなのです。

木は私の人生の重要な一部であり、多くの教訓を与えてくれた。

一般人が出来ることは小さなことだけど、それが影響を及ぼすの。私がしてる小さなことは木を植えることよ。

これから何かを変えたいと思うのであるならば、まず、自分自身から変えなければならない。そして自分自身が先頭になって変えなければならない。

言葉から見た、ワンガリ・マータイてこんな人!

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共に生きることを大切にした人

環境保護や民主主義、平和への貢献により、アフリカ人女性として初めてのノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ。ケニアの一般的な農家の娘として生まれたワンガリですが懸命に勉強を続け、政府留学生になり、大学で博士号を取るまでになります。

そして母国に帰ってからは海外で学んだ知識と経験を生かし、住み慣れた地域の環境問題に取り組みます。そしてそれは多くの人を巻き込んだ運動に発展していき、環境保全のみならずケニアでの女性の地位向上、また独裁政権から民主化への変革にも大きな影響を与えました。

そんなワンガリ・マータイが長年に渡り環境問題に取り組んできたのも「人間は自然によって生かされている」という共存の意識が強く、明確に持っていたからだと彼女の「安心できる食べ物や、安全な飲水もすべて自然からの恵みなのです。クリーンで新鮮な空気も、自然の恵みです。私達は、こうした当たり前のことに感謝すべきなのです。」言葉を見て感じさせられました。

自然は当たり前のように私たちの周りに存在し、私たちを生かしてくれています。当たり前すぎて見落としがちなこの視点を常に持ち続け、生かされていることに感謝し、また共に生きることを大切にした人。それがワンガリ・マータイという人でした。

ワンガリ・マータイの名言からの学び。[1人の小さな行動の大切さ]

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全ては小さな一歩から始まる

今回のワンガリ・マータイの名言で心に残ったのが「一般人が出来ることは小さなことだけど、それが影響を及ぼすの。私がしてる小さなことは木を植えることよ。」という名言でした。

最近ではSDGs(持続可能な開発目標)も頻繁に耳にするようになり、環境や貧困、人権問題など世界中の様々な課題に国や社会をあげて取り組むとても良い風潮になっていると感じます。

しかしプラスチックや温暖化に繋がる二酸化炭素の問題などは日本や小国がいくら頑張ってもあまり効果はなく、アメリカや中国などの大国が積極的に取り組まないと意味がない。といったような意見もちらほら聞かれます。

もちろんそれは正しいのですが、世の中が動くようなムーブメントや革命は1人の行動から始まることも珍しくはありません

ワンガリ・マータイのグリーンベルト運動も最初はたった7本の木を植えることから始まり、今ではアメリカ全土にまで運動は広がり10万人以上が参加、5000万本以上の木が植えられるまでになりました。

人間1人の行動が小さいのは間違いありません。

しかしその些細で小さい行動がなければ物事は動かず、現状が変わることもきっとないでしょう。ワンガリは「これから何かを変えたいと思うのであるならば、まず、自分自身から変えなければならない。そして自分自身が先頭になって変えなければならない。」とも言うように何事もまずは1人、自分自身ができることを考え、実際の行動に移すことが何より大切なのだと今回のワンガリ・マータイの言葉から学びました。

ワンガリ・マータイについての本の紹介

今日の英語

  • afforestation・・・植林
  • sustainable・・・持続可能