求めすぎない。欲なんてきりなくあるんですから
昨年、2018年に亡くなった日本の大女優、樹木希林さん。
希林さん亡くなる直前まで女優として活躍していました。カンヌパルムドールを獲得した「万引き家族」では入れ歯を外し、髪をボサボサにした、着飾らない迫真の演技が話題になりました。
そんな樹木希林さんが残した名言を紹介し、そこからの学びである「謙虚とは感謝である」について考察します。
樹木希林とは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介
スキーの怪我により女優の道へ
樹木希林さんは1943年、東京で生まれます。父は薩摩琵琶の演奏者のからわら、警察官としても働き、母は神保町でカフェを経営していました。
高校生の頃は演劇部に所属してたものの、将来は薬剤師を目指していました。しかし、大学受験の直前にスキーで足を怪我し、そのまま進学を断念。たまたま見かけた文学座の広告を見て、研究生として劇団に入ります。
希林さんは「もともと女優になりたかったわけではなかった」と語っていたように、いろいろな運が重なり女優の道へと進んだみたいですね。
若くして女優として活躍
最初は悠木千帆(ゆうきちほ)という芸名で女優をスタートさせた希林さん。21歳の時に森繁久彌さん主演のドラマ「七人の孫」に出演し、一気に人気を集めます。
希林さんが芝居の面白さに気づいたのはこの時の森繁さんとの出会いだったようで、森繁さんの撮影しながらその場で瞬時に「人間」を作っていくやり方が自分の性に合っていたと語っています。
その後も希林さんは数々の映画やドラマに出演し、女優としてのキャリアを積み重ねていきます。そして34歳で芸名を「樹木希林」に改名、「樹や木が集まり、希な林を作る」ということがこの名前の意味合いだと言われています。
内田裕也さんとの結婚
そして30歳の時にミュージシャンの内田裕也さんと結婚します。その後一人娘である也哉子さんをもうけますが、内田さんとの結婚生活はわずか1年半ほどで、その後はずっと別居状態でした。
そんな独特な夫婦関係を築いていた内田さんと希林さん。1981年に内田さんが無断で離婚届を役所に提出しますが、それを認めない希林さんとの間で訴訟問題にまで発展。結局、希林さんが勝訴し、離婚は無くなりました。
その後、希林さんが癌になってからは交流も多くなったみたいで、内田さんは「あの時離婚しなくてよかったな」と希林さんに伝えるなど、晩年は素敵な夫婦関係だったようにみえました。
晩年は病気とのたたかい
希林さんは60歳の時に突如、網膜剥離により左目の視力を失うと、62歳で乳がんを患い、その後癌が全身にみつかるなど、常に病気とのたたかいでした。
自分ごとですが、僕が希林さんの出演している映画をよく見るようになったのは、病気になった後からのような気がします。その中でも演技に圧倒されたのが「あん」という映画で、希林さんの生き様が役を通して強烈に伝わってきたことをよく覚えています。とてもオススメな映画です。
亡くなる直前まで映画に出演し続けた希林さん、75歳の時に自宅で家族に看取られながら、その人生を終えました。
樹木希林の名言
不自由なものを受け入れてその枠の中に自分を入れる。年をとるとはそういうことです。
「きょうようが」あることに感謝しています。教養ではなく今日用が与えられていることです
存在をそのままに、あるがままを認める
相手のマイナスな部分が必ず自分の中にもあるんですよ
私は全てのものに対して、絶対こうでなければいけないという鉄則はない
人生なんて自分の思い描いた通りにならなくて当たり前
楽しむというのは客観的でしょう。中に入って面白がるの。面白がらなきゃやっていけないものこの世の中。
人はだれでもいろんなかたちで背負っているものがあると思うけど、それだけが人生の全てじゃないものね
病というものを駄目として、健康であることをいいとするだけなら、こんなつまらない人生はないだろう
おごらず、ひとと比べず、面白がって、平気に生きればいい
樹木希林の名言を引用・参考にした文献
言葉から見た、樹木希林てこんな人!
良いことばかりが人生ではない。を体現した人
希林さんの言葉からは、辛く痛いはずの病気に対しても、他に起きる様々なことと同じように、当たり前に、明るく受け入れていると感じます。
喜びや、楽しみだけが人生を作るのではなく、悲しみや、苦しみも同じようにその人の人生を作っていく。
良いことばかりが人生ではない。
人は誰しも良い経験だけをしているわけではありません。程度の差はあれ、悪い状況や経験などはあるはずです。
そんな時、どういう気持ちでその「悪いこと」に向き合うかが、その人のその後の人格を作っていくのだと希林さんの言葉に触れて感じました。
病気や内田裕也さんとの関係など、良いことだけでなく、悪いことも明るく、面白がりながら謙虚に生きた人が樹木希林さんでした。
樹木希林の名言からの学び。「謙虚とは感謝である」
人、物、環境、存在そのままを受け入れる。
仕事の移動はSuicaを使い電車で、靴は昔から3足しか持たないなど、希林さんは慎ましい生活を好んでいたというエピソードが多いです。そんな元々の性格もあると思いますが、希林さんの言葉の中には常に「謙虚さ」がにじみ出ています。
改めて「謙虚さ」とはどういうことなのでしょうか。
それは人、物、環境、いいこと、悪いこと、などなど、全てものに対して平等にあるがまま、そのままに受け入れることなんだと、僕は希林さんの言葉から感じました。
そして、この「受け入れる」に至るまでの、心のもちようが「感謝する」ということである。
それをまた希林さんの名言から感じさせられました。
多くの偉人の言葉にもよく出てくるこの「感謝」という言葉はやはりとても普遍的なものなのですね。何かを成し遂げ、人の心を動かす人ほどこの感謝の気持ちと、謙虚な行動を備えているのでしょう。
病気すらも感謝し、謙虚に受け入れていった日本の大女優、樹木希林さんの言葉から
謙虚と感謝の大切さを学びました。