プロはいかなる時でも、言い訳をしない
相撲界を代表する大横綱、千代の富士。
類稀なる運動能力で若くから活躍し、53連勝や通算1045勝などの数々の記録を残しました。度重なる肩の脱臼に悩まされながらもそれを補うために身につけた強靭な肉体から、ウルフの愛称で親しまれる国民的な力士でもありました。
今回はそんな千代の富士の名言を紹介し、その言葉たちからの学びである「今と未来を見る」について考察しました。
千代の富士とは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介
スポーツ万能の少年時代
千代の富士の本名は秋元貢さんといいます。1955年に北海道の南西部の街、福島町で生まれました。家は漁業を営んでおり、千代の富士も幼少期からそれを手伝っていたといいます。
千代の富士はオリンピックの選手にもなれると言われるほど小さい頃から飛び抜けた運動神経の持ち主で、中学生の時には陸上競技の地方大会で優勝したこともありました。
ある日、知人の紹介で千代の富士を知った九重部屋の千代の山は、すぐに相撲部屋に誘うほどその類まれな才能を感じとります。しかし千代の富士本人はこの頃相撲に全く興味を持っていませんでした。
15歳で初土俵
そんな千代の富士ですが「東京に来ると飛行機に乗れる」という誘いを受け、飛行機に乗れるならと千代の山と一緒に九重部屋へと行くことを決めました。
そして15歳の時に初土俵を踏みます。相撲経験はほとんどないながらもその才能は周囲の知るところとなりまが、千代の富士自身はあまり相撲に対して乗り気ではなく、中学を卒業したら故郷の北海道に帰る予定でいました。
千代の山はそんな千代の富士を相撲を続けるように説得し続けました。そんな心がけもあり、なんとか相撲の世界に留まった千代の富士は19歳で十両昇進を果たします。
脱臼癖を乗り越え初優勝
翌年には幕内入りしますが、生まれつきの骨の形から肩が脱臼しやすい体だった千代の富士は、幾度となくその脱臼に悩まされ、長期離脱してもおかしくないような重傷を負います。
そんな時に病院の先生から「肩の周りを筋肉で固定した方がいい」と言われたことをきっかけに毎日500回の腕立て伏せなどの筋肉トレーニングを行い、鋼の体とも言われた筋肉を作り上げていきました。
その後は相撲のスタイルも変化させ、毎場所二桁勝利など幕内上位にも定着するようになります。そしてん1981年の1月場所では14勝1敗の成績を残し幕内での初優勝を果たします。
数々の記録を残し国民的力士へ
この優勝により大関に昇進した千代の富士はその年の7月場所で2度目の優勝に輝くと、横綱に昇進します。その後の11月場所でも優勝すると、関脇、大関、横綱と1年の間で3つの位で優勝するという快挙を成し遂げます。
そんな快進撃を続ける千代の富士は人気を集め、「ウルフフィーバー」と呼ばれる社会現象になるほどでした。そして1988年には53連勝を記録するなど、無類の強さを誇りました。
その後も国民栄誉賞や前人未到の通算1000勝を記録するなど、歴史的な大横綱となった千代の富士は1991年に引退を発表しましす。
引退後は九重部屋を継承し、後代の力士の育成に励みます。そして2016年、61歳でその生涯を終えることとなりました。
千代の富士の名言
礼に始まり、礼に終わる。勝った喜びより、敗者を敬うことを重んじる。それが相撲道だ
いま強くなる稽古と、三年先に強くなるための稽古の両方をしなくてはならない
流した汗はウソをつかない
私は稽古場では、より厳しい状況を想定して稽古するようにしていた
今日いい稽古をしたからって明日強くなるわけじゃない。でも、その稽古は2年先、3年先に必ず報われる。自分を信じてやるしかない。大切なのは信念だよ
一日やそこらで苦手を克服できるものではない
横綱として休むことはファンを裏切ることになるかもしれない。しかし、本当の裏切りは出場しても横綱らしさを見せられないことだ
言葉から見た、千代の富士てこんな人!
短所を長所に変えた人
53連勝や通算1000勝達成など相撲界を代表する大横綱だった千代の富士。強さだけでなく、強靭な筋肉や横綱としての佇まいに多くの人が魅了され、記憶にも残る力士でした。
そんな千代の富士ですが、先天的に肩が外れやすい体だったために長く悩まされたのが脱臼でした。全治1年と診断されるまでに脱臼癖は深刻化し、休場を余儀なくされるほどでした。
そんな持病を克服しようと医者のアドバイスから始めたのが筋力とレーニンングであり、その筋トレ内容は想像を絶する凄まじいものだったと言われています。
また相撲のスタイルも脱臼しづらい形に変えることで、少しずつ脱臼癖は改善していきました。
強靭な筋肉、自分の体格にあった相撲スタイル。これらは脱臼という自分の弱点を強化するために行ったことですが、結果的に補うだけでなく、自分の武器なる長所へと変わりました。
短所を長所に変える。
それは並外れた努力と強い信念があったからだと、千代の富士の「今日いい稽古をしたからって明日強くなるわけじゃない。でも、その稽古は2年先、3年先に必ず報われる。自分を信じてやるしかない。大切なのは信念だよ。」という言葉からも感じることができます。
短所を長所に変えた人。それが千代の富士という人でした。
千代の富士の名言からの学び。[今と未来を見る]
現状の努力と未来の努力
今回の千代の富士の名言で印象的だったのが「いま強くなる稽古と、三年先に強くなるための稽古の両方をしなくてはならない。」という言葉でした。
相撲界を代表する力士であった千代の富士は上の項目でも書いたようのに大きな弱点も持っていました。そんな中でも彼はそれを克服しようと懸命な努力を重ね、大横綱へと昇り詰めました。
以前に物理学者であるアイザック・ニュートンの名言を書いた時に、闇雲な努力ではなく、常にどうしたらより良くなるかを考える努力の必要性の学びました。
今回の千代の富士の言葉ではそれに加え、今のための努力と、未来のための努力の必要性を教えられました。
漠然とぼんやりと未来のことを考えるだけでは不十分。
先を考えないその場だけの行動も不十分。
今を考え、未来を考え行動する。どちらも大切にし、全力に思考と行動を傾けることが重要であると、今回の千代の富士の言葉に触れて感じさせられました。
現状の努力と未来の努力
相撲の歴史を代表する大横綱、千代の富士の名言からそれを学びました。