推察ができる者は多いが、決断を下せる者は少ない。
フランスの哲学者、シャルル・ド・モンテスキュー。
「社会学の父」という異名も持ち、著書の「法の精神」では政治権力を分離する三権分立を提唱し、現代の政治や権力の在り方にも強く影響を与えた偉人です。
今日はそんなモンテスキューの名言を紹介し、その言葉からの学びである「感情が在る人間関係」について考察しました。
モンテスキューとは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介
貴族の家系に生まれる
モンテスキューは1689年にフランスのボルドーで生まれます。家は貴族の家系でモンテスキューはその長男でした。
7歳の時に母親が亡くなると、母親の遺産を相続し、幼いながら男爵領を得ます。
大学は地元のボルドー大学に進学し、法学部に所属しました。大学を卒業後も20歳でパリに渡り勉強を続けます。
財産と役職を相続
24歳でボルドーに戻ると、翌年にフランスの裁判所にあたる司法機関、ボルドー高等法院の参事官に就任しました。
27歳で叔父が亡くなると、モンテスキューは男爵領と高等法院副院長の官職を引き継ぐこととなりました。
しかしこの領地はあまり大きいものではなく、またモンテスキュー自身は高等法院の仕事自体にあまり熱心ではありませんでした。
著書の出版、学者の道へ
仕事よりもアカデミー会員として学術研究に注力し、自然科学などの研究を行っていたといいます。
また32歳の時にはフランス社会、政治を批判した風刺小説「ペルシア人の手紙」を匿名で出版するなど文学にも力を入れるようになりました。
本業以外での活躍が目立つようになったモンテスキューは37歳で副院長職を辞職します。
法の精神の出版し三権分立を提唱
「ペルシア人の手紙」が大きく評価され、フランスの最古の国立学術団体、アカデミー・フランセーズ会員に選出されると、本格的に研究者の道を歩き始めます。
アカデミー会員になると、すぐにヨーロッパを旅してまわり、各国の社会情勢を視察しました。特に立憲君主制を基本とするイギリスの政治に強く影響を受けたといいます。
そして20年の月日をかけて執筆した「法の精神」を1748年、59歳の時に出版します。その中で有名なのが、立法、行政、司法など権力を分割させる三権分立論の提唱でした。
死の間際まで執筆活動に励んでいたモンテスキューですが、最後の著作は未完成のまま66歳でこの世を去りました。
モンテスキューの名言
偽りの幸福は人を険しく、高慢にし、その幸福について誰かと話し合うことはない。本当の幸福は人を親切で賢明にし、その幸福は分け与えられる。
知識は人間に人間味を与え、温厚さを生む分別を与える。しかし、偏見は人間の全ての柔和な気質を失わせる。
才能とは、神から密かに与えられ、しかも、我々がそれとは知らずに明るみに出す、授かり物である。
友情とは小さな好意を大きな好意で返すことである。
真に偉大な指導者であるには、人々の上に立つのではなく、人々と共に立たなければならない。
紙に書かれた過去は、先人の足跡に過ぎない。先人が何を見たかは、時を辿らなければ解らない。
少しを知るために、多くを学んでおかねばならぬ。
言葉から見た、モンテスキューてこんな人!
学ぶことを求めた人
モンテスキューは男爵と呼ばれる貴族の家系に生まれ、また若くして両親を亡くしたことで、領地や役職を引き継ぎました。
しかしそのような一見恵まれらた境遇にありながら、彼が求めたのは学問の道でした。
社会や政治に対する疑問を抱き、また多くの好奇心から著書の執筆やヨーロッパ視察など、自身の人生をより大きな学びの場へと発展させてきました。
飽くなき学びへの探究心。それは彼の「紙に書かれた過去は、先人の足跡に過ぎない。先人が何を見たかは、時を辿らなければ解らない。」という言葉からも感じることができ、人類にとっても大きな提唱になった三権分立、法の精神へと繋がっていきました。
学ぶことを求めた人。それがモンテスキューという人でした。
モンテスキューの名言からの学び。[感情が在る人間関係]
感情の宿ったgiveの大切さ
今回のモンテスキューの名言で印象的だったのが、「友情とは小さな好意を大きな好意で返すことである。」という言葉でした。
文明が進んだ現代社会。インターネットやAiの進歩により様々なことが計算され、数値化されるようになりました。
また昔と比べ物理的に助け合わなくても生きていける世の中になり、人と人との繋がりが希薄になったとも感じます。そんな中で、人との関わりを持つことに心のどこかで打算的な意識、例えば自分に有益かどうか、無害かどうかが働いてしまう。
自分にとっての見返りを強く求めてしまう人間関係。
人間は複雑な生き物で、生物として生きるための繋がりが必要なくなっても、他人との精神的な繋がりを求めます。それはSNSの普及を見ても明らかでしょう。
希薄、孤独になる世の中で良い人間関係をつくるにはどうしたらいいのか。
そんな問いに対する一つの答えがモンテスキューの言葉にあると感じました。それは自分が相手から与えられたもの以上に、相手に与えること。自分よりも相手を優先するという意識です。なぜなら自分の利益よりも相手のことを考えるということには、計算以上に相手を想う感情があるからです。
機械ではない人間だからこそ、その計算できない感情が人の心を動かし、良好な関係を形成していくのだと、モンテスキューの言葉に触れて感じさせられました。
感情の宿ったgiveの大切さ
法の精神という人類に新たな指針を与えたモンテスキューの名言からそれを学びました。