心の師とはなれ、心を師とせざれ
簡素の茶道とされる「わび茶」の完成者として有名な茶人、千利休。
織田信長、豊臣秀吉に仕え、茶人という立場でありながらその時代大きな影響力を持った偉人です。
今日はそんな千利休の名言を紹介し、その言葉たちからの学びである「成長とは常に学ぶ姿勢である」について書いていきます。
千利休とは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介
商人の息子、17歳から茶道の道へ
千利休は大永2年、1522年に和泉国の堺(現在の大阪府)という町に生まれます。父親の田中与兵衛は地元でも有名な商人でした。
世に知られている「千利休」という名前は本名ではなく(本名:田中与四郎)その後に第106代天皇、正親町天皇(おおぎまち)に与えられた名前です。
17歳から茶道を習い始めた利休は、北向道陳や武野紹鴎に弟子入りし茶道を学んでいきます。特に武野紹鴎は当時のきらびやかな茶具を用いず、茶道の簡素化を目指しました。利休はその簡素簡略の”わび”教えをさらに作法や様式にまで広げ、のちに発展させていきます。
織田信長の側近の茶人
1544年には22歳で初めての茶会を開きます。また父からの影響もあってか商人としても成功を収めていまいた。
そして1569年に織田信長が勢力を拡大していく過程で商業や貿易が盛んな堺の町に注目し、ここを直轄地としました。
信長は商人としても力のある今井宗久、津田宗及、利休を含めた3人の茶人を召し抱え、特に利休は茶頭として重宝していたと言われています。
豊臣秀吉にも重用される
その後信長が京都で開いた茶会に参加するなど茶人として活躍するかたわら、1575年に起きた一向一揆により討伐にくりだした信長のために、鉄砲玉を調達するなど商人としても力量を発揮します。
しかし1582年に本能寺の変により信長が明智光秀に討たれると、その後天下人となる豊臣秀吉に仕えることになりました。
秀吉は信長以上に茶の湯に関心が深かったため、利休は秀吉に頼まれ茶室を作るなど、信長に増して重宝されるようになります。
秀吉の怒りをかい、切腹
また1585年に正親町天皇から「利休」の名前をもらうと、その名は全国に広まるようになります。また秀吉が天下平定に向かう中で、利休も茶人として影響力を持つようになりました。
茶の湯を愛した秀吉でしたが、その種類は利休とは真逆のものでした。秀吉は愛用していた「黄金の茶室」に代表されるように豪華絢爛なものを良しとし、利休は「わびさび」からくる簡素なものを美としました。
このようなことも原因の一つとして両者は次第に相容れなくなり、1591年、秀吉の命令により利休は切腹を言い渡され、70歳の人生を終えました。
千利休の名言
小さな出会いを大切に育てていくことで、人生の中での大きな出会いになることもあります。
常の茶湯なりとも、路地に入るより出るまで、一期に一度の会のように亭主に敬畏すべきし
稽古とは、一よりならい十を知り、十よりかえる、もとのその一
茶はさびて心はあつくもてなせよ道具はいつも有合にせよ
釜一つあれば茶の湯はなるものを数の道具を持つは愚な
その道に入らんと思う心こそ、わが身ながらの師匠なりけれ
家は洩らぬほど、食事は飢えぬほどにて足ることなり
言葉から見た、千利休てこんな人!
出会い・出来事を尊んだ人。
「一期一会」生涯で一度きりのこと。
現代でもよく知られている四文字熟語ですが、この言葉の始まりは千利休だと言われています。
利休は一回一回の茶会を一生に一度のような気持ちでのぞみ、その場をとても尊んでいました。それは彼の「茶はさびて心はあつくもてなせよ道具はいつも有合にせよ」という言葉からも感じられます。
わび茶というシンプルで一見質素な様式の中に、熱いもてなしの心を投影させる。無駄を省き、研ぎ澄まされた世界にこそ、その心はよく映えたのかもしれません。
そんな熱い思いもきっと、この一期一会の精神から来ていたのでしょう。
出会い・出来事を尊んだ人。それが千利休という人でした。
千利休の名言からの学び。[成長とは常に学ぶ姿勢である]
人生を通して学び成長する
今回の千利休の名言で印象的だったのが「その道に入らんと思う心こそ わが身ながらの師匠なりけれ」という言葉でした。
この言葉は自発的に学ぶ姿勢の大切さを示しており、そしてその学ぶ心自体が自分に先生となると言っています。
シンプルだからこそ難しく、奥が深い。簡略化したわび茶の世界を極めていく千利休だからこそ、終わりのない学びの大切さを感じていたのかもしれません。
語学は一生勉強という言葉もよく耳にしますが、それはすべてのことに言えるのかもしれません。時代とともに文化も技術も移り変わる中で、学ぶことに終わりはこないのでしょう。
しかし終わりがないからこそ、それが楽しくもあり、常に人としても成長していけるのだと、千利休の言葉に触れて感じました。
人生を通して学び成長する
天下の茶人、千利休の名言からそれを学びました。