できることから始めるのではなく、正しいことから始めるのです。
オーストリア出身の経営学者、ピーター・ドラッカー。
マネジメントという概念を提唱し、日本でも一時期「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という小説がベストセラーとなり、注目されました。
今日はそんなドラッカーの名言を紹介し、その言葉たちからの学びである「明確な価値観を持つ」について書いていきます。
ピーター・ドラッカーとは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介
博識高い家系で生まれる
ピーター・ドラッカーは1909年にオーストリアの首都ウィーンで生まれます。家はドイツ系ユダヤ人の家系で、代々政府関係や大学の教授などを務めていました。
父親も政府の貿易省長官であり、また経済学者でもありました。母親はオーストリアで女性として初めて医学部に入った博識な人で、経済的にも比較的裕福な家でドラッカーは育ちました。
6歳の時に小学校に入学し、10歳の時には中高一貫の教育機関であるギムナジウムに入学し、ラテン語やギリシャ語などを学びました。
ヨーロッパを離れアメリカへ
18歳でギムナジウムを卒業すると、ドイツのハンブルクに渡り貿易会社で見習いとして働き始めます。また父の願いもあり、大学に進学しますが、仕事と両立していたため、ほとん講義は欠席していたといいます。
2年後にはフランクフルト大学に転入し、証券会社や大手の新聞社で働くようになりました。新聞社で働いている時に当時ドイツで力を持ち始めていたヒトラーをたびたび取材します。
その後ヒトラーによりドイツが掌握されると、ドラッカーはイギリスに移住し、投資銀行で金融の仕事に就きました。しかし商品やお金の流れよりも人の行動に興味を惹か流ようになり、その後すぐに仕事を辞め、28歳でアメリカへ移住します。
30歳で初の著書を出版
30歳になったドラッカーは大学の講師をしながら、自身初の著書となる「経済人の終わり」を出版します。当時のイギリス首相のウィンストン・チャーチルはこれを称賛、世界的な評価を得ました。
その後ベニントン大学の教授に就任し研究や執筆活動を行うかたわら、ゼネラル・モーターズ社の経営・組織構造研究を依頼され、コンサルタントとしても活躍しました。
その研究をもとに出版された「企業とは何か」はベストセラーとなり、当時低迷していたフォード社の再建に貢献するなど、多くの企業に影響を与えるものとなりました。
マネジメントを提唱し、95歳まで活躍
そして45歳の時に刊行した「現代の経営」の中でマネジメントという概念を提唱し、体系化させます。その後も様々な著書を執筆し、65歳の時に日本でも話題となった「マネジメント」を出版しました。
日本にも度々来日し講演活動などを行っていたドラッカー。日本文化にも精通しており、特に水墨画などの古美術のコレクターとしても有名でした。
晩年まで精力的に多様な分野の本を執筆していたドラッカーは、95歳の年、自宅で静かにその生涯を終えました。
ピーター・ドラッカーの名言
未来に何かを起こすには、勇気を必要とする。努力を必要とする。信念を必要とする。その場しのぎの仕事に身をまかせていたのでは、未来はつくれない。未来にかかわるビジョンのうち必ず失敗するものは、確実なもの、リスクのないもの、失敗しようのないものである。
「コップに半分入っている」と「コップが半分空である」とは、量的には同じである。だが、意味はまったく違う。世の中の認識が「半分入っている」から「半分空である」に変わるとき、大きなイノベーションの機会が生まれる。
将来いかなる製品やプロセスが必要になるかを予測しても意味がない。しかし、製品やプロセスについていかなるビジョンを実現するかを決意し、そのようなビジョンの上に、今日とは違う事業を築くことは可能である。
仕事を生産的なものにするには、成果すなわち仕事のアウトプットを中心に考えなければならない。技能や知識などインプットからスタートしてはならない。技能、情報、知識は道具にすぎない。
貢献に焦点を合わせることが、仕事の内容、水準、影響において、あるいは上司、同僚、部下との関係において、さらには日常の業務において成果をあげる鍵である。
組織において成果をあげるには、自らの価値観が組織の価値観になじまなければならない。同じである必要はない。だが、共存できなければならない。さもなければ心楽しまず、成果もあがらない。
ソクラテスは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」と説いた。コミュニケーションは、受け手の言葉を使わなければ成立しない。受け手の経験にもとづいた言葉を使わなければならない。
ピーター・ドラッカーの名言を引用・参考にした文献
言葉から見た、ピーター・ドラッカーてこんな人!
アウトプットを大切にした人
ドラッカーは30歳の時に初めての著書である「経済人の終わり」を出版しました。それ以降95歳で亡くなるまで、65年にわたり様々な本を出版してきました。
企業の経営や組織づくりなどに多くの影響を与えてきたドラッカーの理論。それを可能にした知識や現状分析もさることながら、半世紀以上の長きにわたり世界的に知られる著書をいくつも執筆したこと。このアウトプットの継続性が一番驚嘆する部分でしょう。
「仕事を生産的なものにするには、成果すなわち仕事のアウトプットを中心に考えなければならない。技能や知識などインプットからスタートしてはならない。技能、情報、知識は道具にすぎない。」
ドラッカーの言葉を見ると、彼は知識を溜め込んでから本を書くのではなく、まず書きたい本をイメージしそれに必要な知識や技術を自分に吸収させていたのかなと感じました。
インプット以上にアウトプットを大切にした人。それがピーター・ドラッカーという人でした。
ピーター・ドラッカーの名言からの学び。[明確な価値観を持つ ]
自分を分析、そして知る
今回のドラッカーの言葉で印象的だったのが、「組織において成果をあげるには、自らの価値観が組織の価値観になじまなければならない。同じである必要はない。だが、共存できなければならない。さもなければ心楽しまず、成果もあがらない。」
仕事を辞めたい、学校を辞めたい、コミュニティから離れたい・・・などなど現状にモヤモヤし、変化を求めることは多くの人が経験することでしょう。
人間関係や経済的な問題など、それには様々な理由があると思いますが、ドラッカーの言う「価値観」は大きな理由の一つであると感じます。
自分が所属する組織が大切にするもの。それが価値観です。組織と自分の大切なものが遠く、目指す方向が逆であるならば、ストレスなく一緒に進むのは難しいでしょう。
ではなぜストレスを感じながらも現状から離れられないのか。それは自分の価値観が明確に定まってないからでは?と感じます。
何か違うと感じながらも、自分でも分からずその場から離れられない。しかし、心が安まり楽しくなるには価値観の合う場所を探し、そこにいるべきです。
が、その前に、一番重要なのは自分の中の大切なこと、価値観を明確にすること。自分を知ることだと、今回のドラッカー の言葉に触れて感じました。
自分を分析、そして知る
企業、組織づくりに大きな影響を与えたピーター・ドラッカーの名言からそれを学びました。