いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書の名言|水野学の本の名言からの学び

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今回の本の名言で取り上げたのは日本のデザイナー・クリエイティブディレクターである水野学さんの著書「いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書」です。

水野学さんはクリエイティブ・コンサルティング会社であるgood design companyの代表を務め、くまモンのデザインや相鉄グループのブランディングデザイン、また農林水産省のCI計画など、幅広い業種の仕事に携わっています。

「いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書」はそんな水野さんの仕事をする上で大切にしている「段取り」について紹介しています。

規模やジャンルも様々な仕事を同時で進めていくには、きちんとした段取りが必要である。一見クリエイティブな業界には似つかわしくない段取りという堅苦しい言葉ですが、クリエイティブな仕事にこそ、その能力を最大限引き出すための段取りが必要であり、またクリエイティブに限らず、すべての仕事を“良く”進める上で段取りというのは大切なのだと感じさせられる一冊です。

著者、水野学の紹介

水野学さんは1972年に東京で生まれ、その後神奈川の茅ヶ崎で幼少期を過ごします。小さい頃は野球をやったりと体を動かすのが好きでしたが、小学5年生の頃に交通事故に遭ってしまいます

入院中などはプラモデルを作ったり、絵を描くことに楽しみを見いだした水野さんは、次第に美術の世界に興味を持つようになります。

その後大学は有名デザイナーを多く輩出している名門の多摩美術大学グラフィックデザイン科に入学します。大学卒業後は制作会社に入社するも8ヶ月で退職し、その後業界でも有名なデザイン事務所、ドラフトに入社します。

しかし小さい頃の事故の後遺症から腰痛を患ってしまい、1年ほどでドラフトも辞め、フリーのデザイナーとして活動を始めました。

その後26歳でgood design companyを設立し、現在も幅広く活動を続けています。

ゼロからのブランディングデザインを得意とし、飲食、ファッション、老舗企業、行政など業種様々なデザインを、グラフィックデザインにとどまらず、インテリアや空間、宣伝戦略なども含め、トータルに手掛けています。

いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書のあらすじ

この本は仕事をする上での段取りの大切さと、また実際どのように段取りを活用していくかの内容が大きく5章(CHAPTER)に分けられ書かれています。

CHAPTER1は段取りの始まりは「目的地」を決めることについて、CHAPTER2では目的地までの「地図」を具体化すること。CHAPTER3では目的まで最短でたどり着けるよう効率化を紹介し、CHAPTER4では段取りを気持ちよく行うために自分の中に「空白」を持つことの大切さに触れ、CHAPTER5ではどのように目的をチームで達成していくかについて紹介。このような流れでまとめられています。

いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書の名言

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見切り発車でまずはじめてみて、段々とかたちが見えてくる「ボトムアップ」のやり方もあるのかもしれませんが、効率的には思えません。最終のイメージから「トップダウン」で考えることで、ゴールのイメージが明確になだけでなく、あらゆることがおのずと決まってくる。よって、その後の段取りにおいてもプラスに働くのです。

「すごいこと」は、目指すものではなく、ゴールしたその後からついてくるもの。 そのためには、確実にゴールすること。そしてゴールのために段取りをすることです。

ぼくらは「コンセプト」をプロジェクトごとに決めています。みんなが共有できる「わかりやすい言葉」を用意するのです。 「目的をひとことであらわすような言葉」があれば、迷ったときに原点に立ち返れます。

 企業も夢を持つべきなのです。 小さい頃は、みんな夢をもっていた。それが大人になるにつれ、恥ずかしくて言えなくな っていく。これは企業も同じです。創業時はみんな「夢しかなかった」はずです。それがいつの間にか夢をもたなくなってしまう。だから、夢をもつべきなのです。その「結果」が、その「夢」と多少違うものになろうが、それは構わない。でも、目指さない限りは絶対そこには到達しないですし、夢に向かうことこそが「行動規範」にもなっていくのです。

格好つけない。恥ずかしがらない。わかったふりをしない。 「わからない」と明言し、現場の人たちの前でありのままの自分をさらけだす。こうした態度がもともと身についていたのは、とてもラッキーでした。さもなくば、聞き たいことも聞けなくなり、十分な準備ができなくなります。 目的は、「自分をよく見せること」ではなく、「よい仕事をすること」です。この目的がブレないようにしないと、段取りもうまくいきません。

「なんのためにこの仕事をするのか?」「目的は?志は? この仕事によってどう世の中が変わるのか?」初期段階ではこうした「青臭いこと」を真摯に確かめながら、準備をしっかりとする。そうしなければ、段取りは、単なる予定表づくりで終わってしまいます。

「現地を見ておく」という作業は、基本的に仕事がはじまる前にすませておき ます。現地視察は非効率のように思えるのですが、やはり現地を見ていない仕事と見てい る仕事とではアウトプットがぜんぜん違ってくるのです。クライアントさんによっては「現地なんて見なくてもいいんじゃないですか?」と言わ れる方もいます。しかし、やはり見ていないとちょっと感覚がズレるのです。その場で体験 してみないとわからない。人間の感覚はそれだけ鋭いものです。

「自分がいいと思うもの」というよりも「どっちが正解なのか」しか考えません。「自分」よりも「仕事」が上にあるからです。どっちのほうがこのプロジェクトにとってプラスなのか。そこを最優先します。

 すべてのはじまりはひとりひとりの「想像」の力です。 ジョン・レノンは「イマジン」という名曲を遺しました。 まさに仕事で大切なのは「イマジン」。想像することなのです。今、目の前にある仕事を手を抜かずにやることで、どれだけの人がよろこぶだろうか? 目の前の仕事にちょっとした工夫をすることで、どれだけの人を幸せにできるだろうか?想像する力こそが、いい仕事をつくり出していくはずです。

いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書の名言からの学び

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人や世の中を思いやる

僕はこの本を読み、段取りとは「人や世の中を思いやる事」と感じました。

段取りにおいていちばん大切なことは想像することだと、本の中では書かれています。段取りをするためには未来をどれだけ具体的に想像できるかが大切で、その想像が具体的であればあるほど、段取りもより具体的になり、様々な準備と対応ができるようになります。

また想像は仕事、プロジェクトだけでなく、その先の人々の感情や社会への影響、その仕事によって世の中がよくなるかどうかまで深く広くすることが大切であると感じさせられました。

仕事は一人だけで完結できるものではありません。会社にいればチームや部署で動き、個人で経営、活動する人でも仕事の中には必ずお客さんとの関係があるでしょう。

段取りとは仕事や物事をスムーズに進行するため、といった方法論ではなく、未来と仕事に関わる人たち、しいてはその先の世の中との関係を良くするための心配り、思いやりなのです。

良い仕事をすればそれに関わる人の喜びになる。そんな喜びを生むために仕事を段取りすることが大切なのだと、今回の「いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書」を読んで学ぶことができました。