人間が人間のことを想う、これ以上に美しいものはない。
日本映画界のスター、高倉健。
任侠映画をはじめ様々な映画作品に出演し、その迫力ある佇まいから多くの人の心を魅了した日本を代表する俳優です。
そんな高倉健さんの名言を紹介し、その言葉たちからの学びである「センスとは感動力」について書いていきます。
高倉健とは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介
英語とボクシングが好きな学生時代
高倉健さんは1931年に福岡で生まれます。父親は海軍の軍人、母親は教師の仕事をしていました。
幼少期は病弱だった高倉さんですが、中学生の時にボクシングに興味を持ち、自分でボクシング部を立ち上げそれに熱中します。
また英語にも関心が強く、高校に入ると英会話部を創設し取り組みます。高校までは福岡の学校に通い、大学は明治大学の商学部に入学が決まり、上京することとなります。
上京し東映に入社
大学卒業後は一度福岡に戻りますが、再び上京。そして1955年に大学時代の知り合いの紹介で芸能プロダクションのマネージャーになるための面接を受けていた時、そこにたまたま居合わせた東映の所長で映画プロデューサー・マキノ光雄さんにスカウトされ東映に入社します。
そして入社からわずか1ヶ月半後に異例の主役のデビューが決まります。無名の新人、しかも演技経験もなく、親族に映画関係者のコネがあるわけでもない異例中の異例のデビューでした。
しかし演技素人のため指導の先生からは「他の人の邪魔になるから見学していてください」と言われるなど、屈辱的なデビュー時期を味わいます。
任侠映画で東映の看板スター
主演で映画デビューし、その後も様々なジャンルの映画に主演として起用されますが、どの作品もヒットとはなりませんでした。
しかし1963年に任侠映画「人生劇場 飛車角」に準主役に抜擢されると、その風貌と迫力ある雰囲気で存在感を示します。好演したこの作品を足がかりに次々と任侠映画に主演し、高倉さんは東映の看板スターとなっていきます。
しかしその一方で任侠映画特有の毎回同じような展開のストーリーや過密スケジュールも相まって、「このままだとヤクザ役しかできなくなる」と感じた高倉さんは1976年に東映を辞め、フリーの俳優となります。
人望も厚く日本を代表する俳優へ
フリーになるとジャンル様々な作品に出演し、1977年には「八甲田山」「幸福の黄色いハンカチ」の2作品で主演を務め、第一回目の日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、またブルーリボン賞主演男優賞にも輝きました。
その後も日本にとどまらずハリウッドや中国映画にも出演するなど、活躍は国内外にとどまらず広がっていきました。
中国映画で監督を務めた張芸謀さんは、高倉さんが撮影の休憩時間も他のスタッフに気遣い、椅子に座らず立ちつづけていたことやのエキストラにまで丁寧に挨拶していたのを見て「こんな素晴らしい俳優は中国にはいない」と語っています。
晩年まで精力的に俳優業を続けていた高倉さん。次回の主演作を控えていましたが、2014年に悪性リンパ腫のため84歳で息を引き取りました。
高倉健の名言
俳優にとって大切なのは、造形と人生経験と本人の生き方。生き方が出るんでしょうね。テクニックではないですよね。
映画はその時によぎる本物の心情を表現するもの。同じ芝居を何度も演じる事は僕にはできない。
気持ちは映らないっていうけど、でもやっぱり映るんですよ。どこかそういうのがあるんだよ。それがないやつはきっと、ちょっときらっと光らないんだよね。
俳優にとって大切なのは、造形と人生経験と本人の生き方。生き方が出るんでしょうね。テクニックではないですよね。
人生で大事なものはたったひとつ。心です。
普段どんな生活をしているか、どんな人と出会ってきたか、何に感動し何に感謝しているか、そうした役者個人の生き方が芝居に出ると思っている。
何をやったかではなく、何のためにそれをやったかである。今それが大切に思えてきている。
言葉から見た、高倉健てこんな人!
気持ちを映画に映した人
俳優として、まさにスターと呼べる活躍と偉業を残した高倉健さん。
それにも増して語られるのが、高倉さんの誠実な人柄です。高倉さんが亡くなられた時は多方面から多くの悼む声が寄せられました。
高倉さんの「気持ちは映らないっていうけど、でもやっぱり映るんですよ。どこかそういうのがあるんだよ。それがないやつはきっと、ちょっときらっと光らないんだよね。」という言葉にもあるように、その人の生き様が映像に投影される。
映画の内容はもちろんですが、そこに映った高倉さんの気持ちにも人々は反応し、感動していたのでしょう。高倉さんの人望の深さはその内面からくる演技に直結しているのだと感じさせられます。
気持ちを映画に映した人。それが高倉健という人でした。
高倉健の名言からの学び。[センスとは感動する心]
センスは心を磨いてつくるもの
今回の高倉さんの名言で一番心に残ったのが「普段どんな生活をしているか、どんな人と出会ってきたか、何に感動し何に感謝しているか、そうした役者個人の生き方が芝居に出ると思っている。」という言葉でした。
人が持って生まれた才能みたいなものをよく「センス」と表現します。確かに人間が生まれつき持っている個性はそれぞれ違うものですが、センスとは元々備わっているものなのでしょうか。
僕が高倉さんの言葉に触れて感じたのは、センスとはその人の人生の中で心が動いたこと「感動」で育っていくモノだということです。それは日常の何気ないことにも、見て聞いて、どう感じるのか。その心の変化を深く自分の中で見つめる。その積み重ねがきっと良いセンスをつくっていくのでしょう。
センスは心を磨いてつくるもの
日本を代表する俳優、高倉健さんの言葉からそれを学びました。