フットボールはとてもシンプルなものである。しかし、最も難しいのはシンプルにプレーすることである。
オランダの偉大なサッカー選手ヨハン・クライフ。
現代サッカーの父と呼ばれ、バルセロナで創り上げたトータルフットボールは強さだけでなく、美しく勝つ、そんな理想を体現していました。
今日はそんなサッカー界のレジェンドであるヨハン・クライフの名言を紹介し、その言葉たちからの学びである「シンプルが一番美しい」について考察しました。
ヨハン・クライフとは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介
サッカーと野球少年だった
ヨハン・クライフは1947年にオランダの首都アムステルダム東部の町で生まれます。家は青果店を営んでいましたが生活は貧しいものでした。
クライフは兄や友達と毎日のようにストリートサッカーを楽しむ子供でした。そして家のすぐ近くにアヤックスのホームスタジアムがあったことから10歳の時に下部組織に入団します。
当時のアヤックスには野球部門もあり、なんとクライフはそこでキャッチャーをしていました。野球でメジャーリーグに行くことも夢見ていたと言いますが、オランダでサッカーのプロ化にともない野球部門は廃止され、クライフもそれからサッカーに専念するようになります。
10代からトップチームで活躍
中学校に入学するも勉強に熱が入ることはなく、2年生の時に学校を中退しスポーツ用品店で働きながらアヤックスでサッカーを続けます。15歳の時にユースチームに昇格すると華奢な体格ながら1シーズンで74得点を記録し、才能を開花させます。
そして16歳でトップチームに昇格し、同時にプロ契約を結びます。当時のアヤックスの監督だったのがトータルフットボールを掲げていた名将リヌス・ミケルスで、彼の厳しいトレーニングにもクライフは熱心に打ち込みます。
そして次第に監督が志すトータルフットボールに欠かせない選手になっていきます。3シーズン目には33ゴールで得点王となり、その後チームもチャンピオンズリーグ3連覇などのタイトル獲得。クライフはそれに大きく貢献しました。
バルセロナとオランダ代表での活躍
そして1973年、26歳の時にスペインの名門バルセロナに移籍します。移籍金は当時の世界最高額の5億7000万円で、それもあいまって多くの注目を集めました。
クライフはデビュー戦でいきなり2得点の活躍をみせ、同年、チームも14シーズンぶりのリーグ優勝を果たします。
オランダ代表でも活躍したクライフ。1974年のワールドカップでオランダ代表初の決勝進出に貢献します。惜しくも西ドイツに敗れるものの、大会後クライフを中心としたオランダチームは「未来のサッカーを啓示した」と賞賛されました。
1978年にバルセロナからの退団を機に現役引退を表明。その後実業家へと転身しますが、事業は失敗に終わります。それを機にアメリカで現役復帰を果たし、古巣のアヤックスやフェイエノールトを渡り歩き1984年に再び引退しました。
美しく勝つサッカーをもたらした
引退の1年後にはアヤックスで監督に就任し、指導者としてのスタートを切ります。リーグ優勝はならなかったものの、ウィナーズカップで優勝しアヤックスに14シーズンぶりの国際タイトルをもたらしました。
1988年にはバルセロナの監督に就任。最初はなかなか結果は出なかったものの、ショートパスをつないだポゼッションサッカーは徐々にチームに浸透し、多くのタイトルをもたらしました。
監督退任後もアドバイザーなどでバルセロナやアヤックスに関わりますが、2015年に肺がんを患っていることを公表、そしてその1年後、68歳で息を引き取りました。
その年に行われたオランダ対フランスの代表戦ではクライフの代名詞となっていた背番号14番にあやかり、前半14分にプレーを中断、観客は一斉に立ち上がりサッカー界のレジェンドに拍手を送り別れを惜しみました。
ヨハン・クライフの名言
現代のサッカーは楽しさが欠けている。子供の頃から走ること、戦うこと、結果を求めることばかりを追求し、基本的な技術すら身につけないことは馬鹿げている。
ボールを動かせ、ボールは疲れない。
スポーツには、人々が自分自身について思い描いているヴィジョンや、自分を表現する方法を急速に変える力がある。他のどんな人間活動よりも速いスピードで、スポーツは人々の生き方全体を変えられる。
本当に素晴らしいフットボールは、国境を超え、自分の属する国籍までも忘れさせ、人々を熱狂させることだ。
良いサッカーをして結果も残さなくてはならない。ひどいサッカーをして結果だけを出したのでは退屈だ。良いサッカーをして結果が出ないのでは意味がない。
シンプルなワンタッチのプレーこそ最高の技術だ。
テクニックとは、ワンタッチのパスを適切なスピードでチームメートの利き足に通すことだ。
言葉から見た、ヨハン・クライフてこんな人!
美しく勝つ理想を求めた人
クライフはトータルフットボールを体現し、バルセロナに伝統ともなるチーム戦術を根付かせました。
それは彼が監督を退いても残り続け、美しく、楽しく、そして圧倒的な強さをもたらしました。
クライフの言葉にある「良いサッカーをして結果も残さなくてはならない。ひどいサッカーをして結果だけを出したのでは退屈だ。良いサッカーをして結果が出ないのでは意味がない。」その理想を可能にしました。
現実ばかりに目がいくと、どうしても目先の勝利を追い求めてしまいがちですが、常にサッカーを楽しんでいたクライフは理想的な楽しく勝つサッカーを見事に実現させてみせました。
そんな夢のような理想論を実現させた人。それがヨハン・クライフでした。
ヨハン・クライフの名言からの学び。[シンプルが一番美しい]
基礎が美しさを作る
クライフが求める美しいフットボールは派手なプレーではなく、基礎の基礎とも呼べる「止める」「蹴る」といった技術を追求したものでした。
「ボールを動かせ、ボールは疲れない」
というクライフの有名な言葉にもあるように、彼のサッカーを体現したバルセロナはショートパスをワンタッチでつなぎ、敵を翻弄しました。
そのボールの流れは美しく、アクロバティックなプレーなどなくても、観客の心を惹きつけました。
それを可能にしていたのが選手たちの止めて蹴るという基礎技術であります。それをただひたすらに精度高めていった結果でした。
基礎が美しさを作る。
美しく勝つサッカーを貫いた偉大なフットボーラー、ヨハン・クライフの言葉からそれを学びました。