哲学は学べない。学べるのは哲学することだけである。
近代哲学の祖といわれるイマヌエル・カント
それまでの哲学の常識を180度変える思想を展開したカント。それを代表するのが「純粋理性批判」でした。「カント以後の哲学はカントから流れる」と言わしめるくらいに現代にも強く影響を与える哲学者です。
今日はそんなイマヌエル・カントの名言を紹介し、その言葉たちからの学びである「思想が言葉となる」について考察しました。
イマヌエル・カントとは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介
幼少期から哲学に触れる
カントは1724年に現在のロシア領カリーニングラードに当たる東プロイセンの首都ケーニヒスベルクで生まれます。父親は馬具職人で、母親は熱心なキリスト教徒でした。
カントは8歳の時から学校に通い始め、学校では哲学が正規の授業であるなど、幼少期から哲学に触れていました。勉強熱心だったカントは16歳でケーニヒスベルク大学に入学しニュートンが発展させていた自然学を研究していました。
22歳の時に父親が亡くなると、学費が払えなくなったこともあり卒業論文を提出し卒業。その後は7年ほど家庭教師として働きます。
大学教授を目指し論文の執筆
そんな中でも精力的に論文の執筆を行っていたカントは1755年にラテン語論文「火について」を発表し、ケーニヒスベルク大学の哲学修士学位を取得しました。そして講師として大学に勤めることになります。
教授になりたかったカントは、教授審査のためにまた論文の執筆し始めます。当時、教授になるためにはラテン語の論文を3つ以上執筆しなければなりませんでした。
しかしプロイセンがオーストリアと7年戦争を始めたことをきっかけに国の財政が悪化、教授の人員補充の話もなくなってしまいます。
46歳でケーニヒスベルク大学の教授へ
その間にドイツのエアランゲン大学やイェナ大学から哲学教授のオファーを受けますが、地元を愛したカントはケーニヒスベルク大学にこだわります。そして最終的には同大学の教授に46歳で就任しました。
教授としては遅咲きだったカント。その後哲学部の学部長にも就任し、忙しい毎日を過ごします。
しかし時間にとても厳格だったカントは毎朝決まった時間に起き、決まった朝食を食べ、決まった時間に散歩する習慣をどんな時でも守っていたといいます。あまりに行動が時間通りなので人々はカントを見てその時の時刻を知るといったエピソードもあったくらいです。
純粋理性批判の発表
そして1781年、カントが57歳の時に「純粋理性批判」を発表します。これは近代哲学の基礎ともなった思想とされ、それまでの哲学の考え方を180度変えたとされるくらいの革新的なものでした。
また1788年には「実践理性批判」、1790年には「判断力批判」を発表します。これらの三つの批判を合わせてカントの三批判と呼ばれるようになりました。
1786年には大学総長にも就任し、晩年まで勢力的に研究活動を続けます。そして1804年、80歳でこの世を去ると、遺体は彼の愛する大学の墓地に埋葬され多くの人々が葬儀に参列しました。
イマヌエル・カントの名言
崇高なものは我々を感動させ、美しいものは我々を魅了する。森は夜崇高であり、昼美しい。
理論のない経験は盲目である。しかし、経験のない理論は単なる知的ゲームに過ぎないのだ。
すべての知識は経験に基づく。
言葉は思想とともに発達する。言葉がはっきりしないのは思想がはっきりしないからである。
自分の一つ一つの行為が普遍的法則になるかのように生きるのだ。
内容のない思考は空虚であり、概念のない直観は盲目である。
愛とは感性に属する事柄であって、意欲に属する事柄ではない。だから、欲したからといって愛せるわけではないし、ましてや愛さねばと思ったから愛せるわけでもない。
言葉から見た、イマヌエル・カントてこんな人!
理論を経験で証明した人
カントは大学の教授になっても、ただ自身の研究だけをしていたわけではありません。教授として、学生の教育に対してもとても熱心でした。
それはカントの「理論のない経験は盲目である。しかし、経験のない理論は単なる知的ゲームに過ぎないのだ。」という言葉にもあるように、彼は頭の中だけで考えるだけでなく、実際に実証し体験する事を大切にしていたからでしょう。
彼が規則正しい生活を徹底していたのもまた、自分の思想の検証だったのかもしれません。
理論を経験で証明した人。それがエマヌエル・カントという人でした。
イマヌエル・カントの名言からの学び。[思想が言葉となる]
相手に届く言葉をもつ
今回のカントの名言で印象的だったのが「言葉は思想とともに発達する。言葉がはっきりしないのは思想がはっきりしないからである。」という言葉でした。
人は普段生きていて「言葉」というものを使わない日は滅多にありません。そしてそれは仕事になるとより高度に変化し、プレゼンテーションなど、わかりやすく、心に残るように伝えることが求められることも多いでしょう。
僕も経験があるのですが、プレゼンも「本当に伝えたい」という気持ちがないと、なかなかどうして相手には伝わらないものです。そしてこれは自分の思考と伝えることの価値観が一致していないと、その伝えたいという気持ちは湧いてきません。
本当に心に残る「伝える」ということはただの情報を伝達することではなく、自分の思想や感情に情報を乗せて送り出すこと。カントの言葉に触れてそう感じさせられました。
相手に届く言葉をもつ
近代哲学の祖として多くの人の心に思想を伝えたイマヌエル・カントの言葉からそれを学びました。