感情や直感、望みに従い、ハッピーになれることをしなさい。
ミッフィーの生みの親としても知られるオランダのデザイナー、ディック・ブルーナ。
そのシンプルで明快なデザインは彼の絵本の世界にも大いに反映され、世界中で多くの人の心を惹きつけました。
今日はそんなディック・ブルーナの名言を紹介し、その言葉たちからの学びである「個性は細部にある」について考察しました。
ディック・ブルーナとは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介
家業は祖父から続く出版社
ディック・ブルーナは1927年にオランダのユトレヒトで生まれました。父親は祖父が創業した出版社を引き継ぎ、オランダでも有数の出版社に成長させ、ディックが生まれた時はとても裕福な家庭環境でした。
そのため芸術家や画家などがブルーナ家に頻繁に出入りしていて、ディックは小さい頃から彼らと触れ合い、また家に大量の本があったことで様々なジャンルの本を読んで育ちました。
その後一家は自然に恵まれた町に引っ越し、ディックは自然や動物の絵を描いて遊んでいました。小学校に進んでからも友達と遊ぶよりも一人で絵を描くことが好きな子供だったと言います。
幼少期から画家を志す
中学生になると絵以外にも様々なことに興味を持ったディック。特に熱中したのが音楽で、アコーディオンを家族や友達相手によく演奏していました。
幼少期から変わらず絵を描いていたディックは次第に画家を志すようになります。高校に入学するも画家への思いが強くなったディックは学校を中退を試みます。
しかし父親は自分の会社を継いで欲しかったためディックの意志と対立するも、出版社に入るための研修を受けることを条件に最終的には中退を受け入れました。
オランダ以外にもイギリスやフランスの出版社で研修を行いながら、ディックは同時に様々な芸術にも触れました。特に影響を受けたのが現代芸術家であるピカソやマティス、レジェの作品でした。
現代芸術家に影響を受けデザイナーに
画家になることを諦めていなかったディックですが、結婚を考えていた女性(のちの妻イレーネ)の父親から、正業につくことを結婚の条件と言われ、進路変更を余儀なくされます。
しかし研修期間で経営者になることは難しいと感じていたディックはグラフィックデザイナーとして父の会社に入社することになりました。それからは出版する様々な本の装丁を手がけるようになっていきます。
デザイナーとしてのディックはマティスなどのシンプルで大胆な色使いのスタイルを模索し、一目で内容を伝え、訴求できるような明快なデザインを確立していきました。
ミッフィーの誕生、デザイナーから絵本作家へ
ポスター賞を受賞するなどデザイナーとしても一線で活躍していたディックですが、その関心は次第に絵本へと移行していきます。絵本においてもシンプルと明快さを求め、ブルーナカラーと呼ばれる4色の色をベースにモチーフの形も単純な線の構成を追求しました。
そして1955年に日本ではミッフィーで知られる「ナインチェ」が出版されると様々な国の言語に翻訳され、世界中で愛される絵本へと発展していきました。
ディックはデザイナーとしても変わらずに活躍し、商業デザインだけでなく福祉や障害者施設のポスターやロゴデザインなども手がけ、晩年は社会活動を目的とした方向でデザインを開拓していきました。
多くの人々の心を惹きつけるキャラクターとデザインを残したディック・ブルーナは高齢になっても精力的に仕事を続け、89歳の時にその生涯を終えました。
ディック・ブルーナの名言
シンプルで誰にでも理解できるもの。そして、最後にほっと幸せになれるものを、創造力の続く限り、作り続けるつもりです。
人々に幸せとあたたかさを与えること。それが僕が仕事をするときの基本です。
読み終えた時に心に残るあたたかさこそ、小さな子どもたちを強くするにちがいない。
子どもたちが自分のイマジネーションを使って、自然に吸収していくのがいちばんの学び方である。
いくつになっても不安はつきもの。だから批評家が必要なんです。僕の場合、それが妻であることが最大の幸福です。
僕の作るものはシンプルでいて、見る人にイマジネーションを働かせるものではくてはならない。
わたしの線は、いつもすこし震えています。まるで心臓の鼓動のように。震える線はわたしの個性なのです。
ディック・ブルーナの名言を引用・参考にした文献
言葉から見た、ディック・ブルーナてこんな人!
あたたかさを残した人
ディックブルーナの絵本はとてもシンプルです。ミッフィーも表情をほとんど変えずに物語が進行し、その内容も「学校へ行く」といったような当たり前の日常を切り取ったお話です。
そんな単純化された世界観の中でディックが大切にしていたのが、あたたかさを残すことでした。
デザインでも物語りでも最後には見た人の心がすこしあたたかくなる。そんなハッピーエンドを大切にしていました。それは彼の「読み終えた時に心に残るあたたかさこそ、小さな子どもたちを強くするにちがいない。」という言葉からも感じられます。
そんな絵本に込めたディックの愛情が彼がいなくなった現代でも人々の心を動かしています。
あたたかさを残した人。それがディックブルーナという人でした。
ディック・ブルーナの名言からの学び。[個性は細部にある]
妥協のない姿勢が個性を作る
今回のディック・ブルーナの名言で印象的だったのが「わたしの線は、いつもすこし震えています。まるで心臓の鼓動のように。震える線はわたしの個性なのです。」という言葉でした。
ディックの描く絵はシンプルであるがゆえに、誰でも描けると揶揄されることもあったと言います。
しかし一瞬で描けてしまいそうな単純な造形にもディックはとことんこだわり、時には100枚以上描き直すこともありました。
デザインは1mm単位でも印象が変わってしまう繊細なものです。要素を削ぎ落としたシンプルの中にこそ、その人のデザイン性と考えが反映されます。
人と同じことをやろうとしても、全く同じように真似ることはできないように、必ずどこかに「その人らしさ」が宿っている。細部にいたるまで妥協なく取り組むその姿勢の中にこそ、強い個性がある。と、ディック・ブルーナの言葉を見て感じさせられました。
妥協のない姿勢が個性を作る
オランダの偉大なデザイナー、ディックブルーナの言葉からそれを学びました。