人を非難するのは、ちょうど天に向かってつばをするようなもので、 必ず我が身に返ってくる。
アメリカの講師・作家のデール・カーネギー。
自己啓発本の元祖とされる著書「人を動かす」は世界で1500万部を超えるベストセラーとなり、発売から80年以上たった現在も売れ続け、ビジネスパーソンにとどまらず、多くの人に影響を与えています。
今回はそんなデール・カーネギーの名言を紹介し、その言葉たちからの学びである「優しさが人を動かす」について考察しました。
デール・カーネギーとは?どんな人? 生い立ち・生涯・経歴を紹介
貧しい農家の家庭に生まれる
デール・カーネギーは1888年にアメリカのミズーリ州で生まれます。父親は農家を営んでいましたが、暮らしはとても貧しいものだったといいます。
幼少期のデールは将来教師になることを夢みていました。学生の時は家業を助けるために毎朝3時に起きて、牛の乳搾りをしてから登校するのが日課でした。
貧しいながらも大学に進学したデールですが、大学の寮には入ることができずに馬で学校に通っていました。
ニューヨークに渡り俳優を志す
そんな暮らしもあってか、デールは様々な劣等感に悩まされるようになります。そしてそれを克服しようと大学時代は弁論の研究に勤しみました。
大学を卒業した後は通信教育の販売や、食肉会社のセールスマン、行商人などの様々な仕事を転々とします。
そして23歳の時にニューヨークに移住し、俳優を目指して演劇の学校に通い始めます。その後劇団に所属しますが、ほとんど俳優として活動することはなく、辞めてしまいます。
教師になろうと一念発起
その後はトラックのセールスマンとして働き始めますが、トラックに興味もなく営業の仕事を続けることが次第に辛くなっていきます。
「自分に適した仕事は何なのか」そんなことを日々考える中で思いついたのが、大学の時に力を入れていた弁論術と子どもの頃に夢見た教師の世界でした。
そしてデールは一念発起、教師になろうと仕事を辞め、名門のニューヨーク大学やコロンビア大学などに連絡をとりますが、門前払いを受けます。最終的に行き着いたのがYMCA(キリスト教の青年会)の話し方講座講師の仕事でした。
代表作「人を動かす」「道は開ける」を刊行
最初の頃の授業は生徒の反応もイマイチで、あまりうまくいかなかったといいますが、少しずつ内容を改善していくと、次第に受講生も増え、またその後におきた世界恐慌により、大企業の社長もデール講座を聞きに来るなど盛況を収めます。
そして1936年には、講師生活の中で自ら制作した教材15年分の内容をまとめた著書「人を動かす」を出版します。この本は自己啓発書の元祖とも称され世界で1500万部のベストセラーとなります。そして80年以上たった現在も売れ続けています。
またデールは1948年に人を動かすと共に代表作とされる「道は開ける」を出版します。こちらもベストセラーとなり、日本だけでも200万部以上を売り上げています。
そんな世界的な自己啓発書を残したデールカーネギーは1955年に66歳でその生涯を終えました。
デール・カーネギーの名言
他人の欠点を直してやろうという気持ちは、確かに立派であり賞賛に価する。だが、どうして自分の欠点を改めようとしないのだろう。他人を矯正するよりも、自分を直すほうがよほど得であり、危険も少ない。利己主義的な立場で考えれば、確かにそうなるはずだ。
およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねばならない。
人を動かす秘訣は、間違いなく、一つしかないのである。すなわち、自ら動きたくなる気持ちを起こさせること、これが、秘訣だ。
友をつくりたいなら、まず人のために尽くすことだ。人のために自分の時間と労力を捧げ、思慮のある没我的な努力を行なうことだ。
世の中の人は皆、幸福を求めているが、その幸福を必ず見つける方法が一つある。それは、自分の気の持ち方を工夫することだ。幸福は外的な条件によって得られるものではなく、自分の気の持ち方一つで、どうにでもなる。
誤解は、議論をもってしては永久に解けない。気転、外交性、慰め、いたわり、そして、相手の立場で同情的に考える思いやりをもってして、はじめて解ける。
親切、友愛、感謝は世のいっさいの怒声よりもたやすく人の心を変えることができる。
デール・カーネギーの名言を引用・参考にした文献
言葉から見た、デール・カーネギーてこんな人!
自分を諦めず前を見続けた人
世界的ベストセラー作家であり、自己啓発の古典とも呼ばれる名著を残したデール・カーネギー。時代が変わっても、変わらず読み継がれていることをもみても、その内容が本質的であるのだと感じさせられます。
一番の代表作とされる「人を動かす」はタイトルだけを見ると他人を操る方法を連想してしまいそうですが、中身を読んでみると他人の考えや価値観を尊重しながら、自分の態度や行動、自分自身を変えていくという共通の思考を感じさせられました。
そんな考えは、彼がそれまでに経験した人生から導かれたものなのかもしれません。貧しい環境で育ち、やりがいを見つけられない仕事をしながら葛藤する。ようやく適職だと感じた講師の道でも最初は生徒の心を掴めず苦難を味わう。
そんな中でも彼は自分の足らなさを受け入れ、改善に努めます。すると次第に講座の受講生は増えていきました。今を諦めず常に良い道を探す。他人や環境の悪さに目を向けず、自分自身に向き合う。
それは彼の「他人の欠点を直してやろうという気持ちは、確かに立派であり賞賛に価する。だが、どうして自分の欠点を改めようとしないのだろう。他人を矯正するよりも、自分を直すほうがよほど得であり、危険も少ない。利己主義的な立場で考えれば、確かにそうなるはずだ。」という言葉からも感じることができました。
自分を諦めず前を見続けた人。それがデール・カーネギーという人でした。
デール・カーネギーの名言からの学び。[優しさが人を動かす]
優しい心を持ち、優しい言葉を使う
今回のデールカーネギーの名言で印象的だったのが「親切、友愛、感謝は世のいっさいの怒声よりもたやすく人の心を変えることができる。」という言葉でした。
人は人として生活していく中で、他人と関わらずに生きることは難しいでしょう。有名な心理学者、アルフレッド・アドラーは人間の全ての悩みは人間関係の悩みだとも提唱しています。
そう考えると、私たちは日々他人との関わりに、時間や感情を注力していると言えるでしょう。そして他人ともなれば価値観や考え方が違うのは当たり前で、それにイライラし、不満を溜めてしまうこともあるかもしれません。
悪いところを直してほしい。と声を荒げても、人はなかなか変わることは難しい。特に高圧的な態度や命令のような口調だと、より受け入れ難くなるのだと、自分に置き換えてもそう感じます。
自分の主張を届けるには、まず相手が聞く耳を持つような心でいないといけません。そのためには、たとえイライラしていたとしても強い態度ではなく、どこまでも優しい態度であるべきだと、今回のデール・カーネギーの言葉に触れて感じさせられました。
優しさとは相手に寄り添うことです。相手の立場に寄り添い、感情に寄り添い、考えに寄り添う。
本当に相手を尊重し、その立場で物事を考えることができれば、相手に伝える内容や態度、言葉も自然と変わってくるのかもしれません。
優しい心を持ち、優しい言葉を使う
世界的ベストセラー作家、デール・カーネギーの名言からそれを学びました。